この記事は、「アリバイ崩し承ります」(著 大山 誠一郎)を
読んだあとに書いています
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(1)広告戦略や、SNS上の評価はどうか?
『2019 本格ミステリ・ベスト10』の1位となった本作品。
この作品は、タイトルが斬新ですね。
ミステリファンが食いつきそうなタイトル。
そして、私も引っかかった一人です。
SNS、読書メーターからの評価としては
- ここまで攻めに攻めた本格は久々に読んだ
- もう少し余分なものというか、登場人物に共感できるようなところがあるといいなとも思う
(2)類似、オマージュされた作品はどういったものがあるか?
安楽椅子探偵ものという点では、
「黒後家蜘蛛の会」(アイザックアシモフ)、「円紫さんシリーズ」(北村薫)。
(3)本作は初心者向けor上級者向け?どういった人に薦められるか?
アリバイ崩しというタイトルからして、初心者向けではない印象があります。
内容的にも、普段から本を読んでいない人には勧めない本だと思います。
文章的にも、トリック的にも読みにくいところはないのですが、
登場人物のキャラクターが非常に薄く、ドラマ性に欠けるところ
があるように思います。そういった面で初心者には不向きかと。
キャラクターが記号化されようが、謎解きのための謎があろうが
別に構わないという考えの人なら問題なし。
おじいちゃんの時計謎解きが、一番馬鹿らしいけど
論理的に様々な解決案から絞り込んでいく推理過程が面白かったので
是非ミステリ好きには読んでほしい話です。
(4)パワフルに心に残ったセリフやトリックは何か?
時乃「アリバイがあると主張する人は、何時何分、自分はどこそこにいたと言います。
つまり、時計がその主張の根拠となっているのです」
時乃「ならば、時計屋こそが、アリバイの問題をもっともよく扱える人間ではないでしょうか」
名言っぽいが、全然説得力がない感じが好き。
トリックで良かったのは、「時計屋探偵とお祖父さんのアリバイ」ですね。
<推理一覧>
- もっと前の日に写真を撮る
- 写真の写真を撮り、ネガの時間を偽装する
- 朝3時に写真を撮った
- ネガの裏焼き
- 他の人が撮った
- 家の時計が全部進められていた
- 振り子ストップの仕掛け
- カメラを左に傾ける
連続推理のテンポが良い。
べただけど、家の時計が全部進められていた案も結構好き。
そして、真相。
最初字だと良くわからなかったけど、
挿絵で台に乗ったおじいちゃんが斜めになってる図を見て笑ったw
筋トレの伏線回収が美しい。
(5)ミステリ界に置いて、この作品はどういった位置づけになるか?
最近では珍しい
お手本のような硬派な謎解き小説。
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