本記事の内容には、ネタバレが含まれています!
すでに作品を読了された方向けの内容となりますのでご注意下さい。
あらすじ
~あらすじ~
第26回鮎川哲也賞受賞作
特殊技術で開発された、小型飛行船〈ジェリーフィッシュ〉。その発明者であるファイファー教授を中心とした技術開発メンバー6人は、次世代型ジェリーフィッシュの長期航空試験に臨んでいた。
ところがフライト中に、密室状態の艇内でメンバーの一人が死体となって発見される。
さらに、自動航行プログラムが暴走し、彼らは試験機ごと雪山に閉じ込められてしまう。
脱出する術もない中、次々と犠牲者が……。
精緻な筆致で描く本格ミステリ、新時代の『そして誰もいなくなった』登場!
出典元:版元ドットコム(https://www.hanmoto.com/)
本書のジャンル・特徴
- 本格ミステリである
- 密室殺人
- クローズドサークル
- 特殊設定
- 山
- そして誰もいなくなった系
考察(ネタバレ有)
ファンタジーよりな特殊設定
特殊設定の中でも、ファンタジー寄りな作品。
現代社会より、技術が進んでいないようで、ある部分では超進んでいるような不思議な世界観で話は展開されます。(80年代のアメリカ?)
本作では、ジェリーフィッシュと呼ばれる超最新技術の気球が登場。
逆にDNA鑑定は使えないので、トリックの幅が広がっている、ある意味ミステリーをやるのに都合がいい設定となっているのが特徴。
類似、オマージュされた作品はどういったものがあるか?
あらすじにもありますが
本作品はアガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」のオマージュですね。
「そして誰もいなくなった」系の作品の中でも、ずいぶんと特異な状況下でのクローズド・サークルなのでどんな仕掛けがあるのかワクワクした作品です。
最近読んだ中で、同じく特殊設定で「そして誰もいなくなった」を鬼畜にやってしまったやった白井智之さんの「そして誰も死ななかった」と比べてみるのも面白いと思います!

パワフルに心に残ったセリフ、文章、トリックは何か?
本作の最大の仕掛けは叙述トリック。(ジェリーフィッシュの数)
本作は時系列の異なる2つの視点で話が進んでいく。
1つは、犯行前~犯行完了までのジェリーフィッシュ搭乗者達の視点。
もう1つは、犯行後のマリア&漣コンビの探偵視点。
「この2つの視点なのも、なんか伏線なんだろうなぁ」と思ってたら
案の定、叙述トリックでしたね。
ジェリーフィッシュは2隻あったとは…。
本作はフェアorアンフェア?どういった人に薦められるか?
本作はフェア・プレイと言えるのか?
まず、叙述トリック自体は読者が気づけるような伏線さえあればフェアな作品であると認めます。
本著では推理できる余地があるのでフェアだと思います。
ただ、どんでん返しの感動は少なかった。
2隻あるって言われた時に、ピンとこなかったんだよなぁ。
叙述が上手い作品だとなんか違和感あるんだけど、良くわからんなぁというモヤモヤがあって真実が明かされた瞬間にカタルシスが得られるのだけれど、あまりこの作品ではイマイチだった。
それより、何故犯行を行ったかとか、犯人の供述の内容が面白かった。
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