こんにちは!本格ミステリブロガーのアボカドです。
今回は「星詠師の記憶何故面白いのか徹底考察【ネタバレ有】」と題して、小説「星詠師の記憶」についてまとめてみました。
本記事の内容には、ネタバレが含まれています!
すでに作品を読了された方向けの内容となりますのでご注意下さい。
あらすじ
~あらすじ~
山間の寒村・未笠木村で、紫水晶を使った未来予知の研究をしている〈星詠会〉内部に殺人事件が起こる。真犯人と殺人現場は、予知映像としてあらかじめ残されていた……。
外部に説明することが難しいため、隠蔽されていた事件を調査することになった刑事・獅堂の前には、予知能力をめぐる悲劇的な因縁と鉄壁のアリバイが立ちはだかる。
果たして、予知された未来は、改変不可能なのか!?
美しくも哀しい本格ミステリ。
出典元:BookLive 作品内容
本書のジャンル・特徴
- 本格ミステリ
- 特殊設定
- 未来予知
- 後期クイーン的問題
- 複数の視点
類似、オマージュされた作品はどういったものがあるか?
阿津川辰海さんのエッセイによると
G・バラードの名作『結晶世界』『ヴァーミリオン・サンズ』を思い出し設定を詰めていった。
とのこと
↓エッセイ外部リンク
過去へ過去へと遡る――『星詠師の記憶』著者新刊エッセイ 阿津川辰海
阿津川さんの場合、特殊設定のルールは他のSF小説を参考にしているんだなぁ。
SF小説はあまり読んでいないので、初めて上記2作を知ったけど、あらすじや読書感想見る限りあまり読み易そうではないので、時間があったら手に取ってみよう……。
本作の好きな点
- 2つの視点を使った大胆なトリック
- 理路整然としたロジック
- 前作に比べ、詰め込み感がなくまとまっている
前作、「名探偵は嘘をつかない」はスピード感がある展開が楽しめた半面、
色々な要素を詰め込みすぎて、どこか見せ場なのかわかりづらく、構成がゴチャゴチャした印象がありました。
2作目である本作は、未来予知というガジェットと、現在と過去の2つの視点で明らかになってくる事実
から謎を解くことに重きをおいており、本格ミステリとしての純度が上がったように感じます。
未来予知という仕掛け・2つの視点、の使い方も非常に上手く、
若手の特殊ミステリ作家としてエース級の実力を発揮したのではないでしょうか?
本作のイマイチだと思う点
- 文章が堅い
- 文章から情景が浮かびにくい
- キャラクターの魅力が少ない
本作の謎を解くには、時間軸の差(獅子堂、赤司)、部屋のレイアウト、水晶玉の視点等、全ての内容をイメージできていなければなりません。
私も、記憶だけでは無理があると思ったので、レイアウトは絵に、時間軸はタイムチャートにして謎解きに試みました。
ただ、真相は水晶から見える人の動きがキーになりますが、動きがイメージしずらい描写だったような気がします。
まとめ
今回は「星詠師の記憶何故面白いのか徹底考察【ネタバレ有】」と題して、小説「星詠師の記憶」について紹介しました。
「星詠師の記憶」は阿津川辰海さんの2作目にして、端正な謎解きが楽しめる”特殊設定”ミステリに仕上がっています。
同時期に発売された「屍人荘の殺人」の人気の裏に隠れてしまっているのですが、
この作品も名作なので、沢山の方に是非読んでほしいと思っています!
では、今回もご覧いただきありがとうございました!
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