こんにちは!本格ミステリブロガーのアボカドです。
今回紹介する本は、2019年の10月発売だったのでまだ読まれていない方も多いかもしれません。
ダークホース本でしたよ
この本のせいで、今まで書いていた2020年本格ミステリベスト10ランキング予想の順位がかなり変りました。

今回は『ベーシックインカム(井上真偽)2019年の超ダークホース本!評価・考察』と題して、小説「ベーシックインカム」についてまとめてみました。
~あらすじ~遺伝子操作、AI、人間強化、VR、ベーシックインカム。
未来の技術・制度が実現したとき、人々の胸に宿るのは希望か絶望か。
美しい謎を織り込みながら、来たるべき未来を描いたSF本格ミステリ短編集。
日本語を学ぶため、幼稚園で働くエレナ。暴力をふるう男の子の、ある“言葉”が気になって――(「言の葉の子ら」 第70回推理作家協会賞短編部門ノミネート作)
豪雪地帯に取り残された家族。春が来て救出されるが、父親だけが奇妙な遺体となっていた。(「存在しないゼロ」)
妻が突然失踪した。夫は理由を探るため、妻がハマっていたVRの怪談の世界に飛び込む。(「もう一度、君と」)
視覚障害を持つ娘が、人工視覚手術の被験者に選ばれた。紫外線まで見えるようになった彼女が知る「真実」とは……(「目に見えない愛情」)
全国民に最低限の生活ができるお金を支給する政策・ベーシックインカム。お金目的の犯罪は減ると主張する教授の預金通帳が盗まれて――(「ベーシックインカム」)
出典元:版元ドットコム(https://www.hanmoto.com/)
本作のジャンル・特徴
- 本格ミステリである
- SF設定
- 特殊設定
- 短編集
- 人が死なないミステリ有
本作の評価・加減点理由
「ベーシックインカム」の評価(総合的面白さ :★★★★★)
総合的面白さ :★★★★★
意外性+論理性:★★★★☆
- 文章の読み易さ:★★★★★
- 古典ミステリ感:★★☆☆☆
- 登場人物の魅力:★★★★☆
- 私の好み :★★★★★
「ベーシックインカム」の加点ポイント!
◎非常に良い点
- 井上真偽の最高傑作!?
- 駄作なし短編集
- SF論(希望or絶望)
〇良い点
- 裏の裏がある真相
今までの井上真偽さんは「事件を起こす前に仕掛けを見破る探偵」とか、「可能性を否定する探偵」等
無茶な設定縛りで面白い作品を作るという、ミステリ界のチャレンジャーでした。
今回は、「最新の技術SF縛り」ということで多少縛りが緩かったのか、自由自在な井上真偽ワールドが堪能できました。
ベーシックインカムというタイトルがピンとこなかったので後回しにしていたのですが、読んでみたら今年の上位に食い込む傑作。
最終話はボーナストラック的なところがありますが、
全作品、本格ミステリとしてもSF・エンタメとしても質が非常に高いと感じました。
順位をつけるなら「目に見えない愛情」「言の葉の子ら」「もう一度、君と」「存在しないゼロ」の順かな。
「言の葉の子ら」
一番語りたいのはこの話。でも、語れない。
1番最初の話から、こんな面白いのは反則でしょ!と読みながら思った。
「存在しないゼロ」
唯一普通の本格ミステリっぽい始まり方をする話。
「もう一度、君と」
日常の謎+SFかな。
日常の謎はSFと組み合わせるとさらに幅が広がりますね。
「目に見えない愛情」
発想力に脱帽。その仕掛けは頭良すぎでしょ!
井上真偽さんの作品では「その可能性はすでに考えた」等、多重解決が良く使われます。
本作でも、その片鱗が見え隠れするのでくれぐれも油断しないように。
「ベーシックインカム」の減点ポイント!
△イマイチな点
- —
××かなりイマイチな点
- タイトルが「ベーシックインカム」だと売れなさそう
話の内容的には「ベーシックインカム」というタイトルでもいいのですが、
ビジネス・専門書っぽいタイトルだし、表紙もそれっぽいので
ミステリー小説としては購買意欲があまり沸かないのが残念。
(私は、井上真偽ブランドで買いました)
まとめ
今回は『ベーシックインカム(井上真偽)2019年の超ダークホース本!評価・考察』と題して、小説「ベーシックインカム」について紹介しました。
では、今回もご覧いただきありがとうございました!