こんにちは!本格ミステリブロガーのアボカドです。
今回は『「ヴァンダインの20則」が現代の本格ミステリでも有効なのか検証してみた!』と題して
ヴァン・ダインの二十則について解説してみました。

- ヴァン・ダインの二十則Wikipedia解説
- ヴァン・ダインの二十則の内容
- ヴァン・ダインの二十則の中で今も通用するものはあるか?
- 1.事件の謎を解く手がかりは、全て明白に記述されていなくてはならない
- 2.作中の人物が仕掛けるトリック以外に、作者が読者をペテンにかけるような記述をしてはいけない
- 3.不必要なラブロマンスを付け加えて知的な物語の展開を混乱させてはいけない。ミステリーの課題は、あくまで犯人を正義の庭に引き出す事であり、恋に悩む男女を結婚の祭壇に導くことではない
- 4.探偵自身、あるいは捜査員の一人が突然犯人に急変してはいけない。これは恥知らずのペテンである
- 5.論理的な推理によって犯人を決定しなければならない。偶然や暗合、動機のない自供によって事件を解決してはいけない
- 6.探偵小説には、必ず探偵役が登場して、その人物の捜査と一貫した推理によって事件を解決しなければならない
- 7.長編小説には死体が絶対に必要である。殺人より軽い犯罪では読者の興味を持続できない
- 8.占いや心霊術、読心術などで犯罪の真相を告げてはならない
- 9.探偵役は一人が望ましい。ひとつの事件に複数の探偵が協力し合って解決するのは推理の脈絡を分断するばかりでなく、読者に対して公平を欠く。それはまるで読者をリレーチームと競争させるようなものである
- 10.犯人は物語の中で重要な役を演ずる人物でなくてはならない。最後の章でひょっこり登場した人物に罪を着せるのは、その作者の無能を告白するようなものである
- 11.端役の使用人等を犯人にするのは安易な解決策である。その程度の人物が犯す犯罪ならわざわざ本に書くほどの事はない
- 12.いくつ殺人事件があっても、真の犯人は一人でなければならない。但し端役の共犯者がいてもよい
- 13.冒険小説やスパイ小説なら構わないが、探偵小説では秘密結社やマフィアなどの組織に属する人物を犯人にしてはいけない。彼らは非合法な組織の保護を受けられるのでアンフェアである
- 14.殺人の方法と、それを探偵する手段は合理的で、しかも科学的であること。空想科学的であってはいけない。例えば毒殺の場合なら、未知の毒物を使ってはいけない
- 15.事件の真相を説く手がかりは、最後の章で探偵が犯人を指摘する前に、作者がスポーツマンシップと誠実さをもって、全て読者に提示しておかなければならない
- 16.余計な情景描写や、脇道に逸れた文学的な饒舌は省くべきである
- 17.プロの犯罪者を犯人にするのは避けること。それらは警察が日ごろ取り扱う仕事である。真に魅力ある犯罪はアマチュアによって行われる
- 18.事件の結末を事故死や自殺で片付けてはいけない。こんな竜頭蛇尾は読者をペテンにかけるものだ
- 19.犯罪の動機は個人的なものが良い。国際的な陰謀や政治的な動機はスパイ小説に属する
- 20.自尊心(プライド)のある作家なら、次のような手法は避けるべきである。これらは既に使い古された陳腐なものである
- まとめ
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ヴァン・ダインの二十則Wikipedia解説
~ヴァン・ダインの二十則(wikipedia)~
ヴァン・ダインの二十則(ヴァン・ダインのにじっそく)は、推理小説家S・S・ヴァン・ダインが「アメリカン・マガジン」誌(American Magazine)の1928年9月号に掲載し、1936年に刊行した自らの短編集(Philo Vance investigates)に収録した、推理小説を書く上での20の規則である
ノックスの十戒と並んで有名な規則であり、推理小説へ入門する者にとっての基本指針となっているが、この二十則を意図的に破った作品も数多く存在する
出典元:wikipedia
ヴァン・ダインの二十則の内容
- 1.事件の謎を解く手がかりは、全て明白に記述されていなくてはならない
- 2.作中の人物が仕掛けるトリック以外に、作者が読者をペテンにかけるような記述をしてはいけない
- 3.不必要なラブロマンスを付け加えて知的な物語の展開を混乱させてはいけない。ミステリーの課題は、あくまで犯人を正義の庭に引き出す事であり、恋に悩む男女を結婚の祭壇に導くことではない
- 4.探偵自身、あるいは捜査員の一人が突然犯人に急変してはいけない。これは恥知らずのペテンである
- 5.論理的な推理によって犯人を決定しなければならない。偶然や暗合、動機のない自供によって事件を解決してはいけない
- 6.探偵小説には、必ず探偵役が登場して、その人物の捜査と一貫した推理によって事件を解決しなければならない
- 7.長編小説には死体が絶対に必要である。殺人より軽い犯罪では読者の興味を持続できない
- 8.占いや心霊術、読心術などで犯罪の真相を告げてはならない
- 9.探偵役は一人が望ましい。ひとつの事件に複数の探偵が協力し合って解決するのは推理の脈絡を分断するばかりでなく、読者に対して公平を欠く。それはまるで読者をリレーチームと競争させるようなものである
- 10.犯人は物語の中で重要な役を演ずる人物でなくてはならない。最後の章でひょっこり登場した人物に罪を着せるのは、その作者の無能を告白するようなものである
- 11.端役の使用人等を犯人にするのは安易な解決策である。その程度の人物が犯す犯罪ならわざわざ本に書くほどの事はない
- 12.いくつ殺人事件があっても、真の犯人は一人でなければならない。但し端役の共犯者がいてもよい
- 13.冒険小説やスパイ小説なら構わないが、探偵小説では秘密結社やマフィアなどの組織に属する人物を犯人にしてはいけない。彼らは非合法な組織の保護を受けられるのでアンフェアである
- 14.殺人の方法と、それを探偵する手段は合理的で、しかも科学的であること。空想科学的であってはいけない。例えば毒殺の場合なら、未知の毒物を使ってはいけない
- 15.事件の真相を説く手がかりは、最後の章で探偵が犯人を指摘する前に、作者がスポーツマンシップと誠実さをもって、全て読者に提示しておかなければならない
- 16.余計な情景描写や、脇道に逸れた文学的な饒舌は省くべきである
- 17.プロの犯罪者を犯人にするのは避けること。それらは警察が日ごろ取り扱う仕事である。真に魅力ある犯罪はアマチュアによって行われる
- 18.事件の結末を事故死や自殺で片付けてはいけない。こんな竜頭蛇尾は読者をペテンにかけるものだ
- 19.犯罪の動機は個人的なものが良い。国際的な陰謀や政治的な動機はスパイ小説に属する
- 20.自尊心(プライド)のある作家なら、次のような手法は避けるべきである。これらは既に使い古された陳腐なものである
- 犯行現場に残されたタバコの吸殻と、容疑者が吸っているタバコを比べて犯人を決める方法
- インチキな降霊術で犯人を脅して自供させる
- 指紋の偽造トリック
- 替え玉によるアリバイ工作
- 番犬が吠えなかったので犯人はその犬に馴染みのあるものだったとわかる
- 双子の替え玉トリック
- 皮下注射や即死する毒薬の使用
- 警官が踏み込んだ後での密室殺人
- 言葉の連想テストで犯人を指摘すること
- 土壇場で探偵があっさり暗号を解読して、事件の謎を解く方法
ヴァン・ダインの二十則の中で今も通用するものはあるか?
ヴァン・ダインの二十則の中で今の推理小説界にも通用するルールはあるのか?
二十則についてそれぞれ検証していこうと思います!
1.事件の謎を解く手がかりは、全て明白に記述されていなくてはならない
読者とのフェアプレイを満たすために絶対に必要なルールですね。
2.作中の人物が仕掛けるトリック以外に、作者が読者をペテンにかけるような記述をしてはいけない
これは、「叙述トリック」の否定ですね。
ペテンだとわかる手掛かりさえあれば、作者はペテンを掛けても良いと思っている。
3.不必要なラブロマンスを付け加えて知的な物語の展開を混乱させてはいけない。ミステリーの課題は、あくまで犯人を正義の庭に引き出す事であり、恋に悩む男女を結婚の祭壇に導くことではない
近年の日本のミステリ界に増えてきた、「他ジャンル融合型ミステリー」の否定ですね。
主題がラブロマンスになってしまうとミステリーとは言えないかもしれないが、多少ラブロマンスがあってもいいとは思う。
4.探偵自身、あるいは捜査員の一人が突然犯人に急変してはいけない。これは恥知らずのペテンである
探偵や警察が犯人。
古典ミステリでも、こういう展開ありますけどね。
5.論理的な推理によって犯人を決定しなければならない。偶然や暗合、動機のない自供によって事件を解決してはいけない
論理的な推理は必須。
6.探偵小説には、必ず探偵役が登場して、その人物の捜査と一貫した推理によって事件を解決しなければならない
これは、難しいところですね。
読者が推理できればいいっていう考え方もあると思うんですよね。
イニシエーションラブとか探偵はいないし…。
7.長編小説には死体が絶対に必要である。殺人より軽い犯罪では読者の興味を持続できない
「日常の謎」の否定ですね。
人が死ななくても、読者の興味を持続できるような謎を作るのが日常の謎作家の宿命です。
8.占いや心霊術、読心術などで犯罪の真相を告げてはならない
基本的には、同意。
9.探偵役は一人が望ましい。ひとつの事件に複数の探偵が協力し合って解決するのは推理の脈絡を分断するばかりでなく、読者に対して公平を欠く。それはまるで読者をリレーチームと競争させるようなものである
「多重解決」の否定ですね。
古典でも「毒チョコレート殺人事件」等、探偵役複数の作品はある。
そもそも、9の主張は、『読者VS探偵』という構図を前提に、1対多だと不公平だというものだが、
私的には本格ミステリーの構図は『読者VS作者』だと思っているから
別に探偵役が何人になってもいいと考えます。
10.犯人は物語の中で重要な役を演ずる人物でなくてはならない。最後の章でひょっこり登場した人物に罪を着せるのは、その作者の無能を告白するようなものである
これは完全に同意。
11.端役の使用人等を犯人にするのは安易な解決策である。その程度の人物が犯す犯罪ならわざわざ本に書くほどの事はない
使用人を犯人にするのは有りだと思います。
わざわざ、使用人を犯人候補から除外することもない。
12.いくつ殺人事件があっても、真の犯人は一人でなければならない。但し端役の共犯者がいてもよい
これは、難しいところですね。
連続殺人で別々の犯人がいてもいいような気がする。
13.冒険小説やスパイ小説なら構わないが、探偵小説では秘密結社やマフィアなどの組織に属する人物を犯人にしてはいけない。彼らは非合法な組織の保護を受けられるのでアンフェアである
わざわざ、犯人候補から除外することもない気がします。
14.殺人の方法と、それを探偵する手段は合理的で、しかも科学的であること。空想科学的であってはいけない。例えば毒殺の場合なら、未知の毒物を使ってはいけない
「特殊設定ミステリ」の否定。
非科学的であっても、作内で事前に特殊設定内容の解説があれば、フェアだと思う。
15.事件の真相を説く手がかりは、最後の章で探偵が犯人を指摘する前に、作者がスポーツマンシップと誠実さをもって、全て読者に提示しておかなければならない
これは完全に同意。
16.余計な情景描写や、脇道に逸れた文学的な饒舌は省くべきである
これは同意。
ただ、情景描写、文学的表現が伏線になっている(余計でない)のならば、
組み込んでいくのも良いと思う。
17.プロの犯罪者を犯人にするのは避けること。それらは警察が日ごろ取り扱う仕事である。真に魅力ある犯罪はアマチュアによって行われる
これもわざわざ犯人の選択肢を減らす必要はないように思う。
18.事件の結末を事故死や自殺で片付けてはいけない。こんな竜頭蛇尾は読者をペテンにかけるものだ
事故死・自殺にするのは有りだと思いますが
その真相で話を面白くするのは至難の業だと思いますね。
19.犯罪の動機は個人的なものが良い。国際的な陰謀や政治的な動機はスパイ小説に属する
これも微妙ですね。
あんまり考えたことなかったですけど、確かに政治的になってしまうと、
推理小説とちょっと違うような気もしますね。
20.自尊心(プライド)のある作家なら、次のような手法は避けるべきである。これらは既に使い古された陳腐なものである
「替え玉によるアリバイ工作」とか面白ければ全然使っていいと思います。
まとめ
今回は『「ヴァンダインの20則」が現代の本格ミステリでも有効なのか検証してみた!』と題して
ヴァン・ダインの二十則について紹介しました。
では、今回もご覧いただきありがとうございました!

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